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肝斑にレーザートーニングの是非について②

2020.06.20

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ブログ 美容皮膚科

肝斑にレーザートーニングの是非について②

前回のブログ(2020年5月24日投稿)の続きをお話をしたいと思います。

まず前回のブログを少しまとめます。

肝斑の原因は、主に次の4つ

①炎症
②女性ホルモン
③紫外線
④喫煙

です。

中でも特に①の炎症が主な原因であると考えられています。

つまり主に頬骨の部分の皮膚を、毎日毎日ゴシゴシと洗顔やタオルで刺激し、メイクやメイク落としでも刺激を加え続けると、炎症は軽いながらも継続するとその炎症は蓄積してしまい炎症後の色素沈着(PIH)を生じる、というメカニズムです。

とお話ししました。

その為、ずっと以前から肝斑の原因の一つは炎症なのだから、

『肝斑にレーザーは絶対禁忌!』

と言われていました。
ところが2010年頃から、

『肝斑はレーザートーニングで高い治療効果が期待できる』

と盛んに言われはじめました。

衝撃的でした。
びっくりしました。
もし本当なら肝斑治療におけるブレイクスルーになると感じました。

では、レーザートーニングとは一体どんなものなのでしょうか?

レーザートーニングとは、炎症やかさぶたにならない程度のごく弱い出力のレーザーを当て、メラニンの生成を抑制し、少しずつメラニンを減らしていく治療法のことです。

つまり、ごく弱い出力のレーザーを用いることによって、肝斑の原因となる炎症を極力抑えて、メラニンを少しづつ分解していく、というものです。
副作用を抑え、効果を最大限に引き出そうとしたのです。

逆に、一般的なシミ取りレーザーでは、十分な高出力のレーザーを用いて、シミの元になるメラニン色素などを力強く分解します。従って照射直後にはホワイトニング現象と言われる現象が生じます。これは実際は真皮上層に生じた水泡形成が白く見えるもので、後にかさぶたになります。つまり一瞬で水泡を生じさせるくらいの十分な高出力で色素を破壊しているのです。当然その後もしばらくは発赤や色素沈着などの炎症反応が見られます。

もう少し専門的なお話をします。

一般的なシミ取りにもそして肝斑治療にもどちらも、Qスイッチ型のレーザーが使われることが多いです。2010年ごろから盛んに始まったレーザートーニングには、MedLiteC6というQスイッチ型のYAGレーザー(以下Q-YAGレーザー)が盛んに用いられました。
一般的なQ-YAGレーザーはガウシアン型と呼ばれるレーザービームの形をしています。このタイプは中央部が最も強いパワーが生じ、周辺部は弱くなるという照射法です。それに対してMedLiteC6は、トップハット型と呼ばれる形のレーザーで、中央部も周辺部も均一のパワーで照射を行なうことが出来ます。

MedLiteC6はトップハット型と呼ばれる均一な形のレーザー光を用いているので、中央付近で出力が不用意に高くなることもなく、逆に周辺部で不足する効果を補うためにいたずらに出力を高める必要もない、というのが長所でした。

このようにトップハット型のレーザーが開発されることで、肝斑を悪化させない程度のごく微弱の出力で均一にレーザーを照射することが出来るようになってきました。

機は熟したのでした。

多くの女性が悩む肝斑を積極的に治療し得る技術が生まれたのでした(と当時は思われました)。

成人女性の約半数が持つ言われる肝斑に、今までは内服療法(トラネキサム酸やビタミンCなど)で数か月を要していた、所謂保存的治療とも言える消極的な治療法しかなかった分野にブレイクスルーが起きたのでした。

一見、理論的にはとても良さそうです。

ですが、本当にそうでしょうか。

なかなか改善されない。
それどころかひどくなった。
逆に白く抜けた。

などの声も聞かれます。
にも拘わらず、それらの声を打ち消すかの如く、MedLiteC6によるレーザートーニングは爆発的に普及しました。
これには美容業界の深い闇(?)が隠されているのです。

更に、ここ数年で肝斑に対するQ-スイッチYAGレーザーが下火になってきたのは否めません。また更に新しいレーザー(PICOレーザー)の出現という気になる動きもあります。

まず次回は、美容業界の深い闇についてお話をしますね。お楽しみに。

世界一優しいドクターを目指して!
Original Beauty Clinic GINZA
美容外科専門医・美容皮膚科医 佐藤 玲史