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肝斑にレーザートーニングの是非について①

2020.06.10

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ブログ 美容皮膚科

肝斑にレーザートーニングの是非について①

今日は少し医学的なお話をします。

多くの女性がお悩みの肝斑についてです。

もしあなたが主に目元の頬骨の上にモヤモヤとした色素に悩まされているとしたら、それは肝斑である可能性が高いです。

少し長くなりますので何回かに分けてお話をしたいと思います。

肝斑は医療従事者の中でも、治療方法などについて意見が分かれています。特にレーザートーニングの有効性について賛否両論があります。激論が繰り広げられていると言っても過言ではないかも知れません。

それ以前に、診断についてすら怪しい医師も多いという現実があります。

でもこれはある程度無理もないことだと思われます。というのは現在の日本の医学教育において肝斑を教わることはまずないからです。例えば、最も人気のある皮膚科の教科書(「あたらしい皮膚科学 第3版」清水宏 著 中山書店)は640ページもありますが、肝斑について記載してあるのは僅か1ページ足らずです。

「あたらしい皮膚科学 第3版」清水宏 著 中山書店

私自身も美容の世界に入ってから、これほどまでに肝斑で悩まれている方が多いことに衝撃を受けました。

医学界の関心事は、医学的に珍しいもの、研究材料として目新しいものに興味が向いていて、実際の臨床と研究は温度差があると感じたものでした。
研究費の補助が得られない分野は、なおざりにされて・・・。いや、これ以上、美容外科医の本音を言うのはやめておきます(笑)。

では、なぜ肝斑は生じるのでしょうか?

肝斑の主な原因は炎症です、と言われています。

毎日の洗顔時の摩擦、タオルでゴシゴシと擦ること、メイク時そしてメイク落としの時など、日々私たちの皮膚には弱いながらも炎症が生じています。その炎症が日々少しずつ積み重なることで生じるのが肝斑である、という理論です。
勿論、炎症以外にも原因があります。
妊娠を契機に悪化したり、閉経後は緩和すること、女性に多いことなどから女性ホルモンの関与も指摘されています。
また紫外線や喫煙でも増悪すると言われています。

ですが中でも重要なのがやはり摩擦による炎症です。

皮膚のすぐ下に骨がある頬骨の部分や皮膚の薄い額などが肝斑の好発部位であるのも頷けます。肘や膝、そしてメガネの鼻のパッドが当たる部分に黒ずみやシミが出来やすいのも同様と考えられます。
外での労働従事者、多汗症の人、スポーツをする人で、汗をかいてタオルで強く何回も顔を拭うことが多い人の額にも同様の色素沈着が見られます。
抗炎症作用のあるトラネキサム酸の内服が著効することからも、肝斑の原因の主座は炎症だろうと推測されます。(治療的診断に近いですが・・・。)

従って私は、

『肝斑は皮膚の生活習慣病である』

と考えています。

ですので、肝斑の治療はなるべく擦らずにそーっと洗顔やメイクを落として頂き、優しくソフトにタオルで拭いてもらう。そしてトラネキサム酸を内服してもらう。出来たらビタミンCやタチオンも併用。外用薬のハイドロキノンやトレチノインも塗るという行為自体が刺激になるので処方は慎重にしていました。
つまり、私たち美容外科医・美容皮膚科医にできることは、日々のスキンケアの生活指導とトラネキサム酸の処方、そして白玉点滴(タチオン)くらいでした。

その為、ずっと以前から肝斑の原因の一つは炎症だから、
『肝斑にレーザーは絶対禁忌!』
と言われていました。
ところが2010年頃から、

『肝斑はレーザートーニングで高い治療効果が期待できる!』

と言われはじめました。

衝撃的でした!
びっくりしました!
もし本当なら肝斑治療におけるブレイクスルーになると感じました!

この続きはまた次のブログでお書きします。

世界一優しいドクターを目指して!
Original Beauty Clinic GINZA
美容外科専門医・美容皮膚科医 佐藤 玲史