「メトホルミン」という医療用のダイエット薬が最近話題になっています。現代では、ダイエットがブームとなり、手軽に体重を落とす方法が注目されています。
その中でも特に注目を集めているのが、このメトホルミンです。 糖尿病としての薬とダイエット薬としての人気も高まっています。この記事では、メトホルミンがどうやって体重減少に寄与するのか、その理由や効果、作用メカニズムについて詳しく説明します。
もくじ
メトホルミン服用で痩せる理由は?
- インスリン感受性の改善
メトホルミンという薬が体にいい影響を与える一つの方法は、体がインスリンというホルモンを上手に使えるようにすることです。インスリンは、食べ物から得た糖分をエネルギーとして使うために必要なホルモンです。メトホルミンを服用すると、体がこのインスリンをより効率的に使えるようになります。これにより、食事から得た糖分がエネルギーとして使われ、余分に脂肪として蓄積されるのを防ぐことができます。 - 食欲抑制
メトホルミンはお腹がすいた感じを減らし、食事をした後の満足感を高める効果があります。これにより、自然と食事の量が少なくなり、食べ物から摂取するカロリーの量も減ります。 - エネルギー利用の最適化
メトホルミンは、体のエネルギーの使い方をより効率的にする効果もあります。これは、メトホルミンが体内のエネルギーを管理する特殊な酵素を活性化させるためです。これにより、エネルギーの利用がより効率的になり、筋肉がより成長しやすくなり、体脂肪が減少する可能性があります。 - 腸内細菌の変化
メトホルミンが腸内の細菌のバランスを変えることで、体重の管理に役立つ可能性もあります。つまり、メトホルミンを服用すると、腸内の細菌の種類や量が変わり、これが体重を減らすのに役立つかもしれません。
ただし、これらの効果は人それぞれで、全ての人がメトホルミンを服用することで体重が減るわけではありません。
メトホルミンとはどんな薬剤?元は2型糖尿病の薬
薬剤名 | メトホルミン |
料金相場 | 3,000~6,000円 |
効果 | 血糖値の低下 脂肪肝の改善 糖の吸収を緩和 |
副作用 | 乳酸アシドーシス 吐き気 嘔吐 下痢 筋肉痛 など |
服用方法 | 1回 1錠 (1日2~3回) |
メトホルミンとは、2型糖尿病の治療に広く使われている薬の一つです。これはビグアナイドという薬のグループに属しており、血糖(血液中の糖分)を下げる効果が期待できます。特に重要な点は、インスリン(血糖を調整するホルモン)の分泌を増やすことなく血糖を下げることができるという点です。つまり、この薬は血糖を安定させるために大切であり、2型糖尿病の患者さんにとっては重要な薬となっています。
また、最近ではメトホルミンが多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の治療にも使われています。PCOSは女性の生殖器官に影響を及ぼし、不妊症や月経不順といった問題を引き起こすことがあります。メトホルミンは、体がインスリンに反応する能力、すなわちインスリン抵抗性を改善することで、改善が期待できます。
メトホルミンは、1995年にアメリカのFDA(食品医薬品局)によって承認されています。
参考:メトグルコ錠250mg、錠500mg
メトホルミンの副作用は?
メトホルミンで起こり得る重大な副作用は以下の通りです。
- 消化器系の症状
メトホルミンの最も一般的な副作用は消化器系に関連するもので、腹痛、下痢、便秘、吐き気、嘔吐、胃の不快感、風邪などがあります。これらの症状は、薬の服用を始めた当初に最も顕著で、時間とともに軽減することが多いです。 - ビタミンB12欠乏症
長期的なメトホルミン使用はビタミンB12の吸収を阻害し、その結果、ビタミンB12欠乏症を引き起こす可能性があります。ビタミンB12欠乏症は、疲労、記憶力の低下、神経障害などの症状を引き起こす可能性があります。 - 乳酸アシドーシス
非常にまれですが、メトホルミンは乳酸アシドーシスという重大な副作用を引き起こす可能性があります。これは、体内の乳酸の量が増え、体がそれを適切に処理できない状態を指します。乳酸アシドーシスは、深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。 - 低血糖
メトホルミン単独では低血糖を引き起こす可能性は低いですが、他の糖尿病薬と組み合わせて使用すると、低血糖が起こる可能性があります。
これらの副作用が現れた場合、または他の異常な症状が現れた場合は、すぐに医療専門家に連絡してください。また、メトホルミンは医師の指導の下で使用するべきであり、独自の判断で服用量を変更したり、薬を中止したりするべきではありません。
メトホルミンの正しい用量は?
成人の場合、メトホルミンは通常、1日に2回から3回、食事の前または食事の直後に服用します。治療を始めるときは、1日500mgから始めることが一般的です。これは、体が薬に慣れる時間を与え、副作用のリスクを最小限に抑えるためです。その後、症状や血糖値の反応に応じて、医師が徐々に摂取量を上げることがあります。成人の場合、1日の総量は通常750mgから1,500mgで、最大でも2,250mgまでとされています。
10歳以上の子供の場合も、1日500mgから始め、1日2回から3回に分けて食事の前または食事の直後に摂取します。子供の場合、1日の最高摂取量は2,000mgまでとなります。
ただし、これらは一般的なガイドラインであり、医師が異なる用量や服用スケジュールを推奨することがあります。それは症状、他の病状、年齢、体重、他の薬との相互作用など、様々な要素によります。重要なのは、メトホルミンは必ず医師の指導の下で服用し、自己判断で用量を変更したり、薬を中止したりしないことです。
BMI値別の適切なメトホルミン用量
BMI値 | メトホルミン用量 |
30未満 | 1,500mg/日 |
30~35 | 2,000mg/日 |
35~ | 2,500mg/日 |
メトホルミンの適切な用量はBMI値によっても変わります。BMI値が30未満の場合は1,500mg/日、30~35の場合は2,000mg/日、35以上の場合は2,500mg/日とそれぞれ目安が出ています。また、メトホルミンでも250mg錠のタイプや500mgのタイプがあり、それぞれで1日の目安用量が変わります。250mgは1日に6錠、500㎎は1日3錠と分かれるため、処方されたタイプに応じて1日の用量を守るようにしてください。
メトホルミン以外にもダイエットに有効な薬はある?
薬剤名 | GLP-1 受容体作動薬 |
SGLT-2 阻害薬 |
食欲抑制剤 | メトホルミン |
料金相場 | 2万円 | 1~1.5万円 | 1~1.5万円 | 3,000~6,000円 |
効果 | 血糖値上昇を抑制 | 糖の吸収を抑制 | 食欲抑制作用がある | 血糖値の低下 脂肪肝の改善 糖の吸収を緩和 |
副作用 | 吐き気 嘔吐 下痢 など |
倦怠感 脱水 など |
便秘 口の渇き 悪心 |
乳酸アシドーシス 吐き気 嘔吐 下痢 筋肉痛 など |
服用方法 | 1回1錠 | 1回1錠 | 1回3錠 | 1回1錠 |
ダイエットのための薬にはさまざまな種類がありますが、主なものにGLP-1受容体作動薬、SGLT-2阻害薬、食欲抑制剤、そしてメトホルミンがあります。これらの薬は、それぞれ異なる方法で体重減少を助けることができます。
GLP-1受容体作動薬は、胃の動きを遅くし、満腹感を強くすることで食事の量を減らす効果が期待できます。SGLT-2阻害薬は、尿中に糖を排出することで血糖値を下げる効果が期待できます。食欲抑制剤はその名の通り、食欲を抑えることで過度の食事を防ぎます。
一方、メトホルミンは糖尿病の治療薬であり、インスリン感受性の改善、食欲抑制、エネルギー利用の最適化、腸内細菌の変化などを通じて体重減少に寄与することが報告されています。
これらの薬剤は効果的ですが、多くの場合、それらは比較的高価です。しかし、メトホルミンはこれらの中で最も経済的な選択肢となることが多く、通常は約3,000~6,000円で処方できます。ただし、これらの薬をダイエットの目的で使用する場合は、必ず医師の指導を受けてください。
メトホルミンとフォシーガの併用もダイエットに効果的?
フォシーガは、体内の余分な糖分を尿として排出する効果が期待できます。糖尿病治療薬で、働き方は糖質制限ダイエットに似ています。腎臓が吸収する糖の量を制限することで、血糖値を下げます。これにより、糖尿病だけでなく、肥満、高血圧、高コレステロールなどの生活習慣病に対しても効果が期待できます。
メトホルミンとフォシーガを一緒に使用すると、その効果がさらに増す可能性があります。実際に、メトホルミンだけを使うよりも、これら2つの薬を組み合わせた方が効果があることが示されています。
しかし、これらの薬を一緒に使用する際には、副作用も注意が必要です。低血糖や下痢などが起こる可能性があるので、これらの薬を使用する際には医師と詳しく話し合うことが重要です。
また、妊娠中や授乳中の方、薬剤の成分に対してアレルギー反応を示す方、重度の腎臓病を持つ方は、これらの薬の使用が適していない場合があります。
メトホルミンとフォシーガの使用については、必ず医師と相談し、その指示に従ってください。
メトホルミンに関するよくある質問3つ
メトホルミンを服用しない方が良い人は?
- 重度の肝機能障害を持つ方:
メトホルミンは肝臓で一部代謝され、腎臓を通じて排泄されます。重度の肝機能障害があると、メトホルミンの代謝や排泄がうまく機能せず、体内に薬剤が蓄積するリスクがあります。これにより、副作用のリスクが高まる可能性があります。 - 乳酸アシドーシスの既往歴がある方:
メトホルミン服用者の中には、稀に乳酸アシドーシス(体内の乳酸レベルが異常に高くなり、血液が酸性になる状態)を起こす人がいます。既にこの状態を経験している方がメトホルミンを服用すると、再発するリスクがあります。 - 脱水症の方
脱水症状は、腎臓に負担をかけ、腎機能を低下させる可能性があります。これにより、メトホルミンの排泄が遅れ、体内に薬剤が蓄積するリスクが高まります。 - 1型糖尿病の方
1型糖尿病の患者はインスリンを自身で生産する能力がないため、外部からインスリンを補給する必要があります。メトホルミンは体内のインスリンの効果を高める作用があるため、1型糖尿病の治療には通常は使用されません。 - 妊婦の方
妊娠中の女性は胎児に影響を及ぼす可能性があるため、通常はメトホルミンの服用を避けます。ただし、妊娠糖尿病の管理などで医師の指導のもとで使用されることもあります。
また、不規則な生活をしている方や腎機能障害を持つ方、感染症にかかっている方も、医師の指導のもとで注意深くメトホルミンの服用を管理する必要があります。これらの状況はメトホルミンの効果を変化させ、または副作用のリスクを高める可能性があります。
- 不規則な生活をしている方
メトホルミンは食事と一緒に服用することが推奨されます。食事のタイミングや内容が不規則であると、血糖値のコントロールが難しくなり、メトホルミンの効果も不安定になる可能性があります。また、食事を抜いた状態でメトホルミンを服用すると、低血糖のリスクがあります。 - 腎機能障害を持つ方
メトホルミンは腎臓を通じて体外に排泄されるため、腎機能が低下していると薬剤の排泄が遅くなり、体内に蓄積するリスクがあります。その結果、副作用のリスクが高まる可能性があります。 - 感染症にかかっている方
感染症は全身に炎症反応を引き起こし、体の各器官に負担をかけます。特に重篤な感染症では、腎機能が一時的に低下することもあります。そのため、感染症があるときは医師の指導のもとでメトホルミンの服用を管理する必要があります。
これらの状況に当てはまる方は、メトホルミンを服用する前に必ず医師に相談してください。
メトホルミンは通販購入もできる?
メトホルミンは通販での購入も可能です。ただし、医師の診察を介さずの購入となるため、万が一服用によって体にトラブルが生じても自己責任となってしまいます。また、海外通販での購入もありますが、品質不良な商品の可能性もありおすすめできません。購入する際は医師の診察を受け、クリニックで処方してもらうようにしてください。
メトホルミンは食事を抜いたときも服用するべき?
メトホルミンは、空腹時に服用することは避けるべきです。なぜなら、血糖値が通常よりも低い状態でメトホルミンを服用すると、血糖値がさらに下がり、低血糖症という状態になる可能性があるからです。
低血糖症とは、血糖値が通常よりも低い状態を指します。これは、体内でエネルギー源として使われる糖が足りなくなると発生し、重症化すると頭痛やめまい、手足の震え、冷や汗などの症状が現れることがあります。最悪の場合、意識がもうろうとしたり、昏睡状態に陥ることもあります。
そのため、空腹時にメトホルミンを服用しないようにしましょう。必ず食事と一緒に、または食後に服用するようにします。これによって、血糖値の急激な低下を防ぐことができます。また、具体的な服用方法やタイミングについては、医師や薬剤師と相談することが重要です。
メトホルミンダイエットのまとめ
本記事では、ダイエット薬としてのメトホルミンについて、痩せる理由や効果、副作用などを紹介ました。
メトホルミンは、健康的な生活習慣や運動習慣をサポートするための薬剤の一つです。メトホルミンは、運動する時間がない方や糖の摂取過多が気になる方におすすめです。 正しい生活習慣や運動習慣に加え、メトホルミンを服用することで、より効果的なダイエットが期待できるとされています。
また、メトホルミンには副作用もありますので、服用の際に医師の指導の元服用することを推奨します。
コメントを残す