大麻・麻薬・覚醒剤など③

今回も今までのトピックスの続きです。

奇しくも今日(6/5)、コカインを使用したとして麻薬取締法違反に問われたミュージシャンで俳優のピエール瀧(本名・瀧正則)被告(52)の初公判が東京地裁で開かれました。

芸能人として成功を収めていた人が神妙な面持ちで法廷に立ち、詰問され、反省の弁やファンや関係者への謝罪の弁を述べている様を見ると、薬物の恐ろしさを改めて感じます。

ピエール瀧被告「ストレス解消の手段なく、心の甘さで…」薬物使用の理由語る: ピエール瀧被告=東京都江東区(蔵賢斗撮影)
© 産経新聞 提供 ピエール瀧被告=東京都江東区(蔵賢斗撮影)

さて前回のブログでは、「大麻」について触れました。

今回は少し前から解禁の是非が論争になっている「医療大麻」についてお話していきたいと思います。

「医療大麻」と言うと、2016年10月25日に大麻取締法違反(所持)容疑で逮捕された元女優の高樹沙耶(本名・益戸育江)さんが訴えた「医療大麻の解禁」が想起されます。

高樹さんは、大麻が認知症予防や癌など約250の疾患に有効だとして、合法化のうえ使用や研究を推進すべきと主張しています。更に「医療大麻」の合法化を公約に掲げて参院選に出馬したこともあります。

「医療大麻」が諸外国では解禁の動きがあるとも言われています。

ここでまず、「医療大麻(Medical Cannabis, Medical Marijuana)」とは、大麻に含有されるテトラヒドロカンナビノール (THC) やその他の類似した構造を持つ合成カンナビノイドを利用した生薬療法のことです。

勿論、医療を目的とし、鎮痛作用、沈静作用、催眠作用、食欲増進作用、抗癌作用、眼圧の緩和、嘔吐の抑制などがあるとされています。

しかしそれに反して、特に抗癌作用などについては、専門家の間では科学的根拠は証明されていないという意見も散見されます。

アメリカ合衆国では、腰痛、慢性痛、末期HIV患者の食欲増進、癌の化学療法に伴う吐き気の緩和などのために処方されています。多くの場合、乾燥大麻として処方され、摂取方法としては喫煙であり、嗜好品としての大麻と同様にパイプにつめたり紙に巻いて燃焼させて成分を吸引します。

 

ここで再確認しておかなければならないのですが、日本においては現在、「医療大麻」は認められていません。

医療目的での大麻使用は、前述のようにアメリカの一部の州やカナダなどで許可されています。こうした事実から、医療大麻推進派のなかには「海外では当たり前に使われている」と主張する向きもあります。実際、NPO法人「医療大麻を考える会」のウェブサイトには、

「大麻の医療使用を実質的に禁止しているのは、先進諸国のなかでは日本だけです」

との記述がみつかります。そのほか、サイト上では「(大麻は)依存性がほとんどなく実質的な致死量のない」治療薬にあたるとして、癌やうつ病などの難病にも効果があるとも主張しています。

だが、厚生労働省監視指導・麻薬対策課の担当者は2016年10月27日のJ-CASTニュースの取材に対し、

「前提として、医療用大麻なんて存在しません」

と話し、続けて、

「そうした名称は、大麻を医療に使用したいと主張している一部のグループの方が、独自に用いているものだと認識しています。医療のための大麻などなく、犯罪にかかわる大麻と全く同じ成分が含まれています」

と説明しています。

担当者によれば、現時点では世界保健機関(WHO)も

「大麻の有効性に科学的な根拠はない」

と判断する一方で、精神毒性や依存性については「有害と評価している」という。そのため、厚労省としては、

「有毒性がはっきりしていて、有効性が認められていないものを、医療に使用することは認められない」

との見解です。

「医療麻薬」を用いた終末期医療を専門とする緩和医療医の大津秀一氏はブログの中で、(大津秀一オフィシャルブログ 医療の一隅と、人の生を照らす

「医療用大麻も効能は種々言われていますが、がんの症状緩和に関しては代替薬あるいはそれ以上に良い薬剤があるというのが現状であると考えます」

と指摘しています。続けて、「現場の一専門家としての個人の見解」と断った上で、

「医療用大麻は、がんの患者さんの鎮痛に対して、ぜひとも導入してほしいというくらい必要な薬剤ではありません」

としています。

推進派の中にはきちんとしたプロセスを経て、実直に研究をしている研究者もいる中、高樹沙耶さんの逮捕でその動きにも水を差され、日本における大麻解禁の動きは後退を余儀なくされたのではないでしょうか。

ゲートドラッグとしても危険のある大麻(前回のブログ参照)。やはり現時点では、決して賛成できないというのが、私の立場です。

クリニックで皆様のお越しをお待ち申し上げております。

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美容外科専門医・美容皮膚科医 佐藤 玲史

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